お悔やみの言葉としてよく利用されている「ご冥福をお祈りします」の意味や使い方をご存じですか?このページでは「冥福」を使った例文や、宗教・宗派による言葉の使い分け、適切な言い換え方などを解説します。
テレビなどで著名人の訃報が報じられる際に「ご冥福をお祈りします」という言葉が使われるのを聞いたことがあるのではないでしょうか。冥福は「めいふく」と読み、一般的に「死後の幸せ」を意味します。つまり「●●様のご冥福をお祈りします」とは、故人が亡くなった後幸せに過ごせるよう願う気持ちを表しているのです。なお、電報で使用する際には故人の名前を冥福の前につけて「●●様のご冥福を」とするなど、「冥福」は誰に向けておくる言葉なのか分かりやすいように書きましょう。
「冥福」という言葉を使ったお悔やみ電報の例文をいくつかご紹介します。
お母様の突然の悲報に接し、驚いております。残されたご家族の皆様のご心情をお察しし、すぐにもお慰めに飛んでまいりたい気持ちですが、遥かな地よりご冥福をお祈りいたします。
文例番号 | 8641 |
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文字数 | 83文字 |
ご尊父様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申しあげますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。
文例番号 | 8727 |
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文字数 | 48文字 |
ご逝去の報に接し、皆様のご落胆はいかばかりかと拝察いたします。伺うことがかなわず誠に残念でなりませんが、在りし日のお姿を偲びつつ、安らかなる旅立ちと、故人のご冥福を心よりお祈りいたします。
文例番号 | 8680 |
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文字数 | 94文字 |
「ご冥福」という言葉を使える期間に明確な決まりはありません。仏教で「忌開け」とされる四十九日の法要までという考え方もありますが、時間が経ってから訃報を聞いた場合や、年忌法事などの際にも「ご冥福をお祈りします」という言葉が使われることはあります。
亡くなった人の幸せを願う「ご冥福をお祈りします」という言葉ですが、故人の宗教・宗派によっては「不適切」であると言われることがあります。
「冥福」は仏教の言葉なので、故人が神道やキリスト教など、他の信仰をもっていた場合は使うべきではない、という考え方があります。特定の宗教や宗派を意識せずに広く使われる言葉ではありますが、受け手によっては「不適切」と感じることもあるかもしれません。不安な場合には、以下で紹介する言い換え表現などを参考に、別の言葉で置き換えてもよいでしょう。
仏教の諸宗派の中でも、浄土真宗では「冥福」という言葉の使用が問題視される場合があります。浄土真宗は「臨終即往生」(故人は死後すぐに仏になる)という考え方を持っています。そのため、冥福が「冥土(死後の苦しみ・迷いの世界)での幸福」を意味するのなら、故人は成仏できずに苦しみの世界をさまよっていることになるので不適切な表現とみなされることがあるのです。
お悔やみにおける「ご冥福をお祈りします」は、必ずしも特定の宗教に根差した言葉ではありません。多くの場合、故人の幸せを願う一般的な表現として使われています。
たとえば天皇陛下が使われた言葉で「御冥福を心よりお祈りしたい」といった文言がありますが、これは亡くなった海外の要人や大戦の戦没者に示された弔意であり特定の信仰を意図したものではなく、純粋に故人の幸福を祈る言葉だと考えられます。
また、「冥土」や「冥福」という言葉自体、中国の民間信仰がもとになっているという説もあり、必ずしも仏教的な概念だと考える必要はないのかもしれません。
とはいえ、言葉の受け取り方は人によって異なります。故人が浄土真宗や仏教以外の信仰をもっていたことが分かっている場合には、それに配慮して別の言い回しでお悔やみを伝えてもよいでしょう。
弔意を表す一般的な言葉に「お悔やみ申し上げます」「哀悼の意を表します」などがあります。「お悔やみ」も「哀悼(あいとう)」も、故人を偲び、遺族を想う気持ちを表現する言葉です。「ご冥福をお祈りします」というフレーズと比べて、悲しみや気遣いの気持ちをいくらか宗教色を薄めて示すことができます。
ご訃報に接し、惜別の念を禁じ得ません。弔問かなわぬ非礼をお詫びし、謹んで哀悼の意を表します。
文例番号 | 8508 |
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文字数 | 46文字 |
ご主人様のご急逝の報に接し、驚きを禁じ得ません。奥様のご傷心を思うと、涙がこぼれます。心から哀悼の意を表します。
文例番号 | 8621 |
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文字数 | 56文字 |
●●様の永眠のお知らせに接し、心からお悔やみ申し上げます。ご悲嘆のあまりに、体調を崩されることのないよう、ご自愛ください。
文例番号 | 8660 |
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文字数 | 61文字 |
キリスト教などのように、人が亡くなることを必ずしもネガティブにとらえない信仰もあります。故人や遺族がそうした信仰をもっていることが分かっている場合には、感謝や前向きな気持ちを前面に出す言葉を選ぶのもよいでしょう。
ご生前のご功績と温情が偲ばれます。●●様はつねに私の良き師でありました。どうぞ安らかに永眠されますようお祈り申し上げます。
文例番号 | 8530 |
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文字数 | 61文字 |
友との別れに際しあまりにも突然のことで言葉が見つかりません。たくさんの思い出をありがとう。どうぞ安らかにお眠りください。
文例番号 | 8531 |
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文字数 | 60文字 |
ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。公私ともに大変お世話になり感謝の気持ちでいっぱいです。その旅立ちがどうぞ安らかなものでありますよう、心よりお祈りいたします。
文例番号 | 8533 |
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文字数 | 85文字 |
弔電で使われる文章などでよく使われる言葉を紹介します。
人が亡くなったことをお悔やみの文章の中で表す際には、直接的に「死」という言葉の使用を避けるのが一般的です。代わりに以下のような言葉が使われます。
また、死亡の知らせには「訃報(ふほう)」「悲報(ひほう)」といった言葉が使われます。
「自愛(じあい)」は自分を大切にすること、健康に気をつけることを意味します。大切な人を亡くし悲しむご遺族に対して「体調を崩さぬよう、ご自愛ください」といったかたちで使います。お悔やみの言葉の後に一言添えると、ご遺族の気持ちに寄り添った温かい文面になるでしょう。
ご愁傷様(ごしゅうしょうさま)は、ご遺族に対して気の毒に思う気持ちを表す言葉ですが、対面で伝えるお悔やみの挨拶のため、一般的に文章では使いません。電報で弔意を伝える際にはこれまでご紹介した「ご冥福をお祈りします」や、「お悔やみ申し上げます」といった表現を使いましょう。
でんぽっぽでよく利用されている、定番の弔電台紙です。
「ご冥福をお祈りします」という言葉は弔電などでお悔やみを伝える際に広く使われている表現ですが、宗派によっては避けたほうがよいと言われることもあります。弔電を送る際は、言葉の意味や故人の信仰をできる限り確認して、故人やご遺族の気持ちに寄り添った文章をしたためましょう。
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